営業事務に求められるスキル - 適性チェックリスト付き
マイナビキャリレーション編集部事務職・オフィスワーク未経験の人が営業事務に就職・転職しようとする場合、「自分は営業事務に向いているのか」「自分のスキルが営業事務で通用するのか」といった点を不安に思うかもしれません。そこでこのページでは、営業事務への向き・不向きがすぐにわかるチェックリストを紹介するとともに、必要とされるスキルも詳しく解説していきます。営業事務で培ったスキルを活かしてキャリアアップ・キャリアチェンジする方法も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
目次
自分は営業事務に向いている?適性チェックリスト
まずは、自分の性格や仕事に対する考え方が、営業事務という仕事に向いているかどうかをチェックしていきましょう。ここでは、営業事務の仕事に向いている人の特徴をチェックリスト形式でまとめてみました。当てはまる項目の数が多ければ多いほど、営業事務として活躍できる可能性は高くなるでしょう。
営業事務の適性チェックリスト
- チームで働くことに喜びを感じる
- 結果が目に見える仕事をしたい
- ビジネスパーソンとして成長をしていきたい
- 他人とのコミュニケーションが苦にならない
- 計画を立てたり、調整したりするのが得意
- 課題を発見して解決策を考えるのが好き
- シチュエーションに応じて臨機応変な対応ができる
- 仕事だけでなくプライベートも大切にしたい
営業事務はその名のとおり、営業部門に配属されるのが基本。書類作成や顧客管理、来客応対、電話応対などをとおして、営業職のメンバーの業務をサポートするのが主な仕事です。営業部門あるいは営業職の役割は、自分の会社の商品やサービスをより多くのお客様に届け、売上・利益を生み出すこと。通常、営業部門には売上や利益に対する明確な数値目標があり、営業職のメンバーはその目標をクリアするために日々、商談や提案を繰り返しているわけです。
売上や利益目標を設定されることは少ないのですが、営業事務ももちろん営業部門の一員です。数字というシビアな目標に対して戦っている営業職の同僚を支えるには、当事者意識を持って、自分も目標を追いかける姿勢が大切。「チームで働くことに喜びを感じる」ことができる感性が必要になるでしょう。この感性を持っていれば、メンバーが目標を達成したとき、部門が目標を達成したときに、その喜びを皆で分かち合うことができ、営業事務という仕事に対して大きなやりがいを感じられるようになります。
また、営業事務の仕事に就くと、売上・利益というわかりやすい結果と隣り合わせで働くことができます。自分の仕事が売上・利益に直接に影響を与える機会も少なくありません。例えば、新しいお客様からの問い合わせに対して、適切な回答をできたことが、そのまま受注につながるといったことも多いのです。「結果が目に見える仕事をしたい」と考えている人にとってはうってつけの職種といえるでしょう。
営業部門というビジネスの中核を担う部署で働くことで、事務職から営業職へ、マーケティング職へというキャリアップの可能性も広がります。将来的には「ビジネスパーソンとして成長をしていきたい」と考えているなら、積極的にチャレンジしたいところ。能動的に仕事をしていけば、学び取れることは非常に多いはずです。
また、営業事務の重要な仕事のひとつに受発注の手続きというものがあります。受発注と一言でいってしまうと簡単に見えますが、働いている業種によっては生産計画や配送手段、ルートの調整などをしなければならないケースがあります。「計画を立てたり、調整したりするのが得意」な人のほうが向いているでしょう。そのほか、営業職のメンバーが働きやすくなるように業務改善をするという仕事もあります。「課題を発見して解決策を考えるのが好き」な人であれば、重宝されるに違いありません。
もうひとつ重要なのが「シチュエーションに応じて臨機応変な対応ができる」ということ。営業部門は基本的に顧客の意向を優先する形で活動することになります。ときには時間的にも物理的にも困難な注文に応えなければならないこともあるでしょう。マニュアル通りの対応しかできないのではなく、困難を解決するための方法を考えられるスマートさがあると活躍の機会が大幅に増えるはずです。
ただし、営業事務といっても事務職のひとつであることに違いはありません。他の職種に比べて残業や休日出勤が少ないという特性を持っています。「仕事だけでなくプライベートも大切にしたい」と考えている人にとっても、無理なく働ける環境だといえます。
営業事務として活躍するために必要なスキルレベル
続いては、営業事務として働いていくために必要なスキルについて紹介していきます。あらゆる事務職において重要視されている「コミュニケーションスキル」「PCスキル」「作業の正確性・スピード」「スケジュール管理能力」「臨機応変な対応」という5つのスキルについて、営業事務にはどの程度のレベルが求められているのかをグラフ化しました。レベルは1〜5の5段階評価で、3を事務職としての平均レベルとしています。数字が大きくなるほど高いレベルが求められると考えてください。
コミュニケーションスキル【求められるスキルレベル:5】
営業事務には高いコミュニケーションスキルが求められます。なぜなら、お客様を中心とした社外の人たちとのやり取りが多いからです。営業職のメンバーは、外回りや会議への出席などで自分の席にいない時間が長くなります。電話の取次ぎはすべて営業事務が行うという会社も多いでしょう。また、来客があったときに会議室やミーティングスペースへ案内するのも営業事務の役割のひとつです。社外に対する窓口を一手に引き受けるわけですから、ビジネスマナーはもちろん、相手の状況を察して最適な対応を取るというスキルが求められます。
また、お客様からの問い合わせに対しては、相手の要望を正確に汲み取るという意味でのコミュニケーションスキルも必要になります。新規のお客様からの問い合わせに関しては、営業事務が行う、最初のヒアリングが受注の行方を左右することもあります。自分の電話応対、メールでの回答が売上・利益に対して影響を与えることがあるという認識を持って働くことが大切です。
PCスキル【求められるスキルレベル:4】
営業事務に求められるPCスキルは、事務職の平均的な水準に比べると、やや高いといえるかもしれません。見積書や請求書、顧客管理表を作成するためには、Word(ワード)、Excel(エクセル)が使えるスキルが大前提となるほか、顧客や取引先とのやり取りにはメールが必須です。営業資料の作成のサポートを行う際には、PowerPoint(パワーポイント)やアクセスといったソフトを使用する可能性もあります。
あるいは、売上・利益の集計や分析を担当することも考えられます。この場合は、Excel(エクセル)でいちから関数を使って書類をまとめなければならないケースもあるでしょう。そのほか、会社によっては、専用の顧客管理(CRM・Customer Relationship Management)ツールや、営業支援(SFA・Sales Force Automation)ツールを使用している場合もあります。これらのツールをマニュアルやヘルプを参考にしながら使いこなせるだけのPCスキルがあったほうが、業務を無理なくこなせるようになります。
作業の正確性・スピード【求められるスキルレベル:3】
作業の正確性・スピードは、事務職であればどのような職種であっても強く求められるスキルです。事務という仕事の価値を、他の社員から依頼された作業を正確かつスピーディに行うことと定義しても言い過ぎではないかもしれません。そのため、営業事務だからといって他の事務職よりも、作業の正確性・スピードが高い水準で求められるということはないでしょう。
営業事務の仕事をすると、見積書、請求書、納品書、契約書といった、商品・サービスの受発注に関わる数多くの書類を扱うことになります。日付、金額、数量、宛先といった記載内容をミスなく入力し、締切りに間に合うように書類を作成するスキルがあれば、営業事務として十分に活躍することができるはずです。
スケジュール管理能力【求められるスキルレベル:4】
営業事務の仕事をスムーズに行うためには、比較的、高いスケジュール管理能力が必要になります。特に重要なのは、お客様や同じ部署のメンバーのスケジュールも把握した上で、自分のスケジュールを組み立てるというスキルです。
例えば、新しいお客様と取引きを始めるとき、商品やサービスの提供を行う前に、見積書や契約書の作成が必要になるのが一般的です。これらの書類は、社内だけでなくお客様側での確認も必要。確認・修正という手続きが何度か繰り返され、書類のやり取りだけで、1〜2週間が必要になってしまうことも多々あります。お客様の希望の日時に商品やサービスを提供するためには、これらの手続きにかかる時間を逆算して作業をしなければならないわけです。
継続的に取引きがある場合も同様です。例えば毎月、請求書を発行しなければならないお客様がいたとしましょう。このとき、営業メンバーから請求額が申請されるのを待っていると、自分の作業時間が取れなくなってしまうことが多いはずです。営業メンバーが毎月、どのタイミングで申請をするのかを把握し、もし、遅れがちなのであれば注意喚起をするなどといった工夫が必要です。能動的にスケジュールをコントロールしていかなければ、結果として自分に負担がかかってしまいます。
臨機応変な対応【求められるスキルレベル:4】
前述した通り、営業事務の人が所属する営業部門は、お客様の都合を優先して活動するという特性を持った部署です。会社が定めている業務マニュアルやルールを守ることが前提となるものの、お客様からの強い希望があったときにはイレギュラーな対応をしなければならないケースもあるでしょう。そんなときに、「マニュアルで定められた作業ではないから」「自分の作業時間が取れないから」などといって断っていては、営業事務が持つべきスキルとしては失格の烙印を押されてしまいます。
たとえ時間的、物理的に困難な要求であったとしても、すぐに断るのではなく、まずは可能にする方法がないかを検討する姿勢が、営業事務の仕事にはとても重要です。会社が定めた業務マニュアルは、「誰もが正確に業務を進められる」ことを目的に作成されているのが一般的です。上長や他部署に相談することで、手続きや商品・サービスの提供までにかかる時間を短縮できることが少なくありません。イレギュラーなケースをスマートに処理できることが、頼れる営業事務として認められるための必須条件・必須スキルといえるでしょう。
ワンランク上の営業事務になるために実践すべきこと
ここまで紹介してきたのは、あくまで営業事務としてスムーズに仕事をこなしていくためのスキルや適性です。しかし、せっかく働くのであれば、より感謝され、頼りにされる営業事務を目指したいところ。また、営業事務から営業職やマーケティング職へのキャリアアップ、他の事務職へのキャリチェンジを目指してみてもいいでしょう。そこで最後に、ワンランク上の営業事務になり、キャリアパスを広げるために実践すべきことを紹介していきます。
数値目標達成のために自分ができることを探す
営業事務の人は、目的意識を持って働いていないと、営業メンバーにいわれたことを正確かつスピーディにこなすだけの作業者になってしまいかねません。営業事務として最低限の仕事はできていれば十分と考える人が多いかもしれませんが、せっかくビジネスの中核となる部署にいるのですからもっと欲を出して、能動的に行動することをおすすめします。
例えば、営業メンバーが当たり前のように使用している営業資料や会社案内。これらの資料は、定型的なものであるため、内容が古くなっていてもそのままになってしまいがちです。定期的にチェックして最新の内容に修正したり、よりわかりやすく改善したりすることで、新しいお客様の獲得数が増えるかもしれません。
契約が切れそうになっている顧客がいる場合は、前もって継続契約の提案ができるように営業メンバーに注意喚起をしてもいいでしょう。顧客に対して定期的に新商品・サービスの案内をする仕組みを作ってもいいかもしれません。営業事務の立場であっても、売上・利益を伸ばすためにいくらでも工夫はできるのです。そうして培った経験は、将来のキャリアアップにきっと役に立ってくれるはずです。
他の事務職に関する資格取得・スキルアップにチャレンジしてみる
事務職として活躍の幅を広げていきたい人には、「数値目標達成のために自分ができることを探す」とともに、他の事務職に関する資格取得・スキルアップにチャレンジしてみるのもおすすめです。簿記の資格を取って経理事務を目指してみてもいいでしょう。売上管理や伝票作成の経験が役に立ってくれます。
もし、英語ができるのであれば英会話学校に通ったり、TOEICの勉強をしたりして、英語力を高めていくといいでしょう。営業事務で培った経験やスキルをそのまま活かしながら英文事務、貿易事務へとキャリアチェンジが可能になります。そのほか、秘書検定を受けて、秘書を目指すという手もあります。
キャリアアドバイザーから一言コメント
今回は、営業事務として活躍するために求められるスキルと適性について解説してきました。もしかすると、求められるスキルのレベルが高すぎて「自分にはできないかも…」と不安になってしまった人も多いかもしれません。しかし、むやみに不安がる必要はありません。適性については向き・不向きがあるものなので、矯正が難しい場合もありますが、スキルは仕事をしながら身に付けていくものです。
しかも、マイナビキャリレーションを利用すれば、研修をとおしてビジネスマナーや事務職としての仕事の進め方、PCスキルを基礎から学ぶことができます。オフィスワークが初めての人が、営業事務として活躍している例もたくさんあるので、しり込みをせずに積極的にチャレンジしてみてください。