【2025年版】経理事務に強い資格まとめ|未経験からキャリアを築くための資格ガイド

未経験から経理事務への転職を目指す場合は、経理の基本的な知識を身に付けたり、実務に役立つ資格を取得したりすることで、採用される可能性をより高めることができます。
本記事では、経理事務の仕事内容と資格の関係を整理したうえで、未経験者でもチャレンジしやすい経理関連資格から、特定の業界で役立つ専門資格まで、キャリア形成に役立つ資格を幅広く紹介します。
目次
経理事務の仕事と資格の関係
経理事務は取引に伴う入出金や資金管理、給与支払いなど、会社の資金の流れを支える仕事です。日常業務や決算を通じて経営を支える重要な役割を担います。
具体的な業務内容は以下のとおりです。
【経理事務の主な業務内容】
- 仕訳入力(会計ソフトへのデータ入力)
- 売掛金・買掛金の管理
- 経費精算の処理
- 請求書の発行・送付
- 入出金管理・銀行口座の照合
- 給与計算・勤怠データのチェック
- 月次決算の補助 など
経理事務では会計や経理の基礎知識、関連法令の理解が求められます。採用ではこれらを客観的に示す手段として資格が重視され、採用時の高い評価になります。また、実務の中で資格の知識を活かすことができれば、業務の正確性や効率性が高まり、キャリアアップにも繋がるでしょう。
未経験者向け!独学OK・実務直結の資格3選
未経験から経理事務を目指す方は、まず以下の3つの資格取得を目標に勉強を始めるのがおすすめです。これらは独学でも挑戦しやすく、実務で直接役立つスキルを身に付けることができます。
資格1日商簿記3級
日商簿記3級は未経験者が経理の基礎を身に付ける第一歩となる資格です。基本的な仕訳のルールや帳簿の作成方法、売掛・買掛金の管理といった経理事務の基本的な知識を学ぶことができます。
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学べること
簿記の基礎知識、仕訳の基本、簡単な帳簿作成
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活かせる業務
仕訳入力、経費精算、入出金管理、月次決算補助
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学習時間目安
80〜100時間程度
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合格率
40~50%前後
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受験費用
3,300円(税込)
(参考:学習時間目安 TAC)
(参考:合格率 ユーキャン)
(参考:受験費用 日商簿記3級)
資格2MOS(Excel)一般レベル
MOS(Excel)一般レベルは、Excelの基本操作を習得できる資格です。経理事務では日々大量のデータ処理が発生しますが、Excelのスキルを身に付けることで仕訳入力や伝票管理、集計作業などの業務をより正確かつスピーディーに進めることができます。
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学べること
Excelの基本操作、表作成、簡単な関数・グラフ作成
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活かせる業務
仕訳伝票の作成、集計表の作成、予算管理
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学習時間目安
80時間程度
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合格率
80%前後
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受験費用
12,980円(税込)
(参考:学習時間目安 グッドスクール)
(参考:合格率 ユーキャン)
(参考:受験費用 MOS(Excel)一般レベル)
資格3ビジネス会計検定3級
ビジネス会計検定3級は、企業の財務諸表を理解・分析する力を身に付けるための資格です。この資格を取得することで、経理事務の重要な業務の1つである財務諸表の作成補助や経営報告書の作成がスムーズにできるようになります。
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学べること
財務諸表の理解・分析、経営分析の基礎知識
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活かせる業務
財務諸表の作成・分析、経営報告書の作成、経営判断に必要なデータ整理や分析
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学習時間目安
50〜100時間程度
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合格率
50~70%前後
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受験費用
4,950円(税込)
(参考:学習時間目安 MS AGENT)
(参考:合格率 ビジネス会計検定試験 試験結果)
(参考:受験費用 ビジネス会計検定)
採用で有利!転職・配属で評価されやすい資格5選
経理事務の即戦力として高く評価される資格は以下の5つです。これらの資格を取得することで、転職や配属の際に自分のスキルを客観的に証明することができます。また、採用担当者や上司からの評価も高まるでしょう。
資格1日商簿記2級
日商簿記2級は、日商簿記3級で学ぶ商業簿記に加え、製造業を対象とした工業簿記も学ぶ資格です。難易度は高いですが、取得することで経理事務の即戦力として高く評価されます。
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学べること
商業簿記、工業簿記(原価計算など)、決算業務や財務諸表の分析
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活かせる業務
原価計算・予算管理、月次・年次決算の補助、財務諸表の作成・分析
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学習時間目安
350〜500時間
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合格率
10%~20%
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受験費用
5,500円
(参考:学習時間目安 ユーキャン)
(参考:合格率 ユーキャン)
(参考:受験費用 日商簿記2級)
資格2FASS(経理・財務スキル検定)
FASS(経理・財務スキル検定)は、経理・財務分野における実務知識やスキルの習得度を客観的に測る検定試験です。経理・財務の実務に特化した日本唯一の検定であり、信頼性の高いスキル測定手段として評価されています。経理事務としての即戦力を証明することができるため、採用や配属の際の大きな武器となるでしょう。
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学べること
資産・決算・税務・資金に関する知識
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活かせる業務
月次・年次決算の補助、財務諸表作成・分析
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学習時間目安
個人の知識レベルや実務経験、目標とするレベル(A~E)によって変動
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合格率
合否ではなく総合点(満点:800点)から5段階のレベルでスキル評価
レベルA:15%
レベルB:16%
レベルC:29%
レベルD:29%
レベルE:11% -
受験費用
11,000円(税込)
(参考:学習時間目安 MoneyForward)
(参考:合格率 FASS受験者データ)
(参考:受験費用 FASS(経理・財務スキル検定)
資格3経理事務パスポート検定(PASS)
経理事務パスポート検定は、経理・会計業務に携わるうえで必要な知識とスキルを体系的に学ぶことができる資格試験です。1級~3級まであり、受講と試験がすべてe-ラーニングで行えるため、働きながらでもチャレンジしやすい資格です。まずは3級に挑戦しましょう。
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学べること
経理事務に求められる心構えや役割、日常的な経理処理業務など
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活かせる業務
帳簿・伝票管理、入出金・請求処理、決算手続きなど
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学習時間目安
全コース合計で約10時間の研修動画で学習。3級で50時間程度
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合格率
非公表
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e-ラーニング受講料(受験料含む)
1級:8,800円(税込)
2級:6,600円(税込)
3級:1,650円(税込)
(参考:学習時間目安 Knock)
(参考:受験費用 日本CFO協会)
資格4給与計算実務能力検定
給与計算実務能力検定は、企業や組織に不可欠な給与計算業務の知識や実務能力を客観的に判定し、給与計算のエキスパートとして認定する検定試験です。この資格を取得することで、経理事務の仕事で毎月行う給与計算において、正確で効率的な処理能力があることをアピールできます。1級・2級・3級があり、難易度も級によって異なるため、まずは3級の取得を目指しましょう。
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学べること
給与計算の仕組みの理解、給与計算に関するコンプライアンスの理解、給与・年末調整・給与関連書類の処理方法
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活かせる業務
給与計算や税金など給与関連資料作成
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学習時間目安
1級試験:50~60時間程度
2級試験:40~50時間程度
3級試験:不明 -
合格率
1級:40%~50%程度
2級:60%~70%程度
3級:90%程度 -
受験費用
1級:11,000円(税込)
2級:8,800円(税込)
3級:10,000円(税込)
(参考:学習時間目安 実務能力開発支援協会)
(参考:合格率 実務能力開発支援協会)
(参考:受験費用 実務能力開発支援協会)
資格5電子会計実務検定
電子会計実務検定は、電子会計の実務に関連するスキルを認定する資格です。企業では日々の経理業務を電子会計ソフトで行うことが多いため、この資格を取得することで、正確で効率的な処理能力があることを証明でき、経理事務の即戦力として評価を高めることができます。
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学べること
電子会計ソフトの基本操作
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活かせる業務
電子会計ソフトを使った効率的な経理事務処理
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学習時間目安
不明
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合格率
非公表
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受験費用
3級:4,400円(税込)
2級:7,700円(税込)
1級:2024年度以降施行なし
(参考:受験費用 電子会計実務)
業界に特化した実務に直結しやすい資格4選
業界ごとに高く評価される資格について解説します。各業界で求められる専門知識や実務スキルを証明できる資格を取得することで、転職や配属の際に即戦力として評価されやすくなります。
資格1建設業経理検定(建設業経理士)
建設業経理検定(建設業経理士)は、建設業経理に関する知識と処理能力を高めるための資格試験です。建設業特有の会計処理や経理実務に特化しているため、建設業界で働きたい方には特におすすめです。まずは、初歩的な建設業簿記を学べる4級からチャレンジするとよいでしょう。
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学べること
建設業特有の会計処理(出来高計算、仮勘定の処理など)、財務諸表の作成・分析
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活かせる業務
建設業での経理・財務処理、工事原価管理や月次決算補助など
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学習時間目安
建設業初学の方:80~100時間程度
日商簿記3級学習済みの方:50~60時間程度
日商簿記2級学習済みの方:20~30時間程度 -
合格率
1級:20〜40%(財務諸表)、20〜45%(財務分析)、20〜25%(原価計算)
2級:35〜45%
3級:60〜70%
4級:70〜85% -
受験費用
1級1科目:8,120円(税込)
1級2科目:11,420円(税込)
1級3科目:14,720円(税込)
2級:7,120円(税込)
2・3級(同日受験):12,620円(税込)
3級:5,820円(税込)
3・4級(同日受験):10,220円(税込)
4級:4,720円(税込)
(参考:学習時間目安 TAC)
(参考:合格率 建設業経理検定)
(参考:受験費用 建設業経理検定)
資格2公益法人会計検定/社会福祉法人 経営実務検定
公益法人会計検定/社会福祉法人 経営実務検定は、公益法人や社会福祉法人の業務に必要な専門知識を習得し、財務のスペシャリストを目指すための検定試験です。企業とは異なる非営利組織特有の会計・経営を習得することで、経理業務の即戦力として活かすことができます。
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学べること
公益法人・社会福祉法人に特化した会計制度
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活かせる業務
公益法人・社会福祉法人での経理・会計業務
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学習時間目安
【公益法人会計検定試験】
2級:250~350時間程度
3級:100時間程度
【社会福祉法人 経営実務検定】
経営管理:100時間以上
会計1級:100時間以上
会計2級:80~100時間程度
会計3級:50時間程度
入門:20~30時間程度 -
合格率
【公益法人会計検定試験】
2級:30〜35%
3級:60〜75%
【社会福祉法人 経営実務検定】
経営管理:50〜65%
会計1級:15~40%
会計2級:40〜55%
会計3級:80〜90%
入門:90% -
受験費用
【公益法人会計検定試験】
2級:9,800円(税込)
3級:8,000円(税込)
【社会福祉法人 経営実務検定】
会計1級:11,000円(税込)
会計2級: 8,800円(税込)
会計3級: 5,500円(税込)
入門: 2,200円(税込)
ガバナンス:6,600円(税込)
財務管理:6,600円(税込)
(参考:学習時間目安 フジ子さん)
(参考:合格率 公益法人会計検定試験・一般財団法人総合福祉研究会)
(参考:受験費用 公益法人会計検定試験・社会福祉法人 経営実務検定)
資格3銀行業務検定(財務・税務)
銀行業務検定(財務・税務)は、銀行・保険・証券などの金融機関で必要な実務知識や技能応用力を測る検定試験です。さまざまな検定科目がありますが、経理事務の業務では財務と税務の科目(各2級・3級・4級)が特に活かせます。資格取得により、銀行取引や税務処理に関する基本的な知識があることを証明できるだけでなく、経理事務としての実務対応力も高めることができます。
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学べること
銀行業務全般(融資・預金・為替)、金融商品や取引に関する会計、財務・税務関連知識
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活かせる業務
金融機関での経理・事務
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学習時間目安
50時間程度
※科目・級によって異なる -
合格率
【財務】
2級:20〜30%
3級:25〜40%
4級:50〜70%
【税務】
2級:20〜30%
3級:25〜40%
4級:50〜70% -
受験費用
【財務・税務】
2級:8,250円(税込)
3級:5,500円(税込)
4級:4,950円(税込)
(参考:学習時間目安 タスク 銀行員の学校)
(参考:合格率 資格の説明)
(参考:受験費用 銀行業務検定協会)
資格4農業簿記検定
農業簿記検定は、農業経営に特化した簿記能力を認定する資格です。農業に特化した勘定科目などが盛り込まれた農業簿記のエキスパートであることを証明することができます。
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学べること
農業簿記、財務会計・原価計算・管理会計
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活かせる業務
農業法人・農業関連企業での経理業務
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学習時間目安
不明
-
合格率
1級:35〜40%
2級:40〜45%
3級:60% -
受験費用
1級:5,280円(税込)
2級:2,750円(税込)
3級:1,980円(税込)
(参考:合格率 仕事&資格ナビ)
(参考:受験費用 一般財団法人 日本ビジネス技能検定協会)
海外でも活かせる!グローバル資格
海外での活躍を目指す方には、グローバルな環境で評価される米国公認会計士(U.S.CPA)の取得が役立ちます。この資格を持つことで、国際的な組織や海外拠点でも即戦力として活躍できるスキルがあることを証明できます。
資格1米国公認会計士(U.S.CPA)
米国公認会計士とは、国際ビジネス資格の最高峰に位置づけられる、米国各州が認定する公認会計士資格です。世界中の会計・監査・コンサルティング業界で評価される資格であるため、海外や外資系企業で会計・財務・監査のキャリアを目指す人に特におすすめです。ただし、英語での試験となるため、USCPAは一般的に、TOEIC800点以上の英語力があるのが好ましいとされています。
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学べること
国際企業・米国基準での会計、監査、税務
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活かせる業務
外資系企業・グローバル企業での経理・財務・経営企画、国際会計事務所でのコンサルティング・税務
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学習時間目安
会計知識ゼロ、英語があまり得意でない方:約1,200~1,500時間
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合格率
40~80%前後(科目ごとに異なる)
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受験費用
日本国内で受験する場合、科目ごとに会場手数料が必要
科目別の受験料+日本会場追加料金=$745.64〜(1科目ごと)
科目別の受験料:$355.64 ~ $368.64(1科目ごと)
日本会場追加料金:$390.00(1科目ごと)
(参考:学習時間目安 TAC)
(参考:合格率 TAC)
(参考:受験費用 TAC)
よくある質問
最後に、経理事務に関連する資格についてよくある質問4つを紹介します。
Q.1経理事務に資格は必須?未経験はどこまで必要?
経理事務に資格は必須ではありません。しかし、専門的な業務が多いため、スキルとして基礎的な仕訳やExcelでの集計は最低限求められるでしょう。
まったくの未経験者の場合は、まず簿記3級+Excel基礎(MOS相当)を取得しておくことをおすすめします。また、資格をまだ取得していなくても、取得に向けて学習中であることを面接でアピールすることも有効です。
Q.2簿記3級だけで採用される?実務で武器にするにはどうすればいい?
簿記3級を保有していれば、小規模~中小企業の経理アシスタント職では採用のチャンスが十分にあります。さらに、Excel操作(SUMIF/VLOOKUP/XLOOKUP/ピボット)スキルを加えることでより強いアピールポイントとなります。
また、簿記3級の知識を実務で武器化するには、以下の取り組みをプラスするのが効果的です。
- 仕訳練習ノートやExcel管理表の自作例を整理した学習アウトプットのポートフォリオ化
- 実務で使う用語(売掛・買掛・入出金照合・月次締め)を理解し、面接で自然に使う
Q.3Excelはどのレベルが必要?関数の目安は?
経理事務においてExcelのスキルは不可欠です。日常の経理業務や月次集計を正確かつ効率的にこなすために、次のスキルを習得しておくようにしましょう。
- 必須レベル:四則演算、基本書式、フィルタ、ショートカット、表の整形
- 推奨関数:SUM/AVERAGE/IF/COUNTIF/SUMIF/XLOOKUP(またはVLOOKUP)/INDEX・MATCH
- 集計:ピボットテーブル、簡単なグラフ、CSV取込・データ整形(区切り、テキスト操作)
さらに詳しく知りたい方は次の記事もご覧ください。
Q.4資格学習と実務、どっちを優先すべき?
資格学習よりも実務を優先するのが原則です。
しかし、会計・経理に関する基本的な知識を備えるために、経理のスタートラインとなる簿記3級を短期取得して足掛かりを作っておくとよいでしょう。簿記3級で基礎を固めたうえで実務をこなし、不足を感じた領域は対応する資格で補完するのがおすすめです。
マイナビキャリレーションが未経験の方の経理事務への転職を完全サポート
経理事務は会社のお金の流れを幅広くサポートする仕事です。まず未経験から経理事務へ転職するなら「1日商簿記3級資格2MOS(Excel)一般レベル資格3ビジネス会計検定3級」の資格を取得するとよいでしょう。
経理事務の仕事への転職を考えているなら、マイナビキャリレーションがおすすめです。マイナビキャリレーションでは業務に必要なさまざまな研修を用意しており、入社前研修を通じて基礎力をしっかり固めることができます。
\ 未経験から経理事務にチャレンジできる /

