派遣社員も雇用保険に加入できる?失業手当(失業保険)の受け取り方は?
民間企業で働いている人は通常、特別な申請をすることなく「雇用保険」に加入することになります。このことは正社員であろうと派遣社員であろうと同様です。ただし、派遣社員として働く場合、雇用契約期間や労働時間によっては雇用保険の加入資格を満たすことができないことがあるので注意が必要です。このページでは、派遣社員が雇用保険の加入資格を満たすための条件から、マイナビキャリレーションで無期雇用派遣という働き方をしたときの雇用保険の詳細、雇用保険のメインともいえる「基本手当(失業手当・失業保険)」の給付を受ける方法まで、順を追って解説していきます。
※本ページの解説は以下の派遣労働者を前提としています。
- 使用される事業所が健康保険の適用事業所である
- 65歳未満かつ、学生、日雇労働者、季節労働者、船員ではない
- そのほか、本文で記載されている以外の除外条件が適用されない
目次
派遣社員も条件を満たせば雇用保険に加入できる
社会人経験がある人なら、一度は「雇用保険」という言葉を聞いたことがあるでしょう。雇用保険は「社会保険」「労働保険」と呼ばれるもののひとつで、万が一、失業してしまったときに、失業期間中の収入を補ってくれたり、就職の支援をしてくれたりするものです。民間企業に勤めている人であれば、基本的にすべての人が強制的に加入することになります。これは正社員でも派遣社員でも変わりません。派遣社員ももちろん雇用保険に加入できます。
ただし、派遣社員として働く場合は、雇用契約期間と労働時間について例外条件が定められていることは覚えておかなければいけません。雇用保険の加入資格と言い換えてもいいでしょう。派遣社員の場合、加入資格を満たせないケースがあるのです。雇用保険の加入資格を下にまとめました。
雇用保険への加入資格
- 雇用契約期間が31日以上もしくは31日以上になる見込みがある
- 契約で決められた1週間の労働時間が20時間以上である
雇用契約期間、労働時間と雇用保険の関係
Aさんの場合は、派遣会社での勤務開始当初から雇用契約期間が31日以上で、1週間の労働時間も20時間以上になっているので、派遣社員として働き始めてすぐに雇用保険に加入できます。一方、Bさん、Cさん、Dさんは雇用保険には加入できません。Bさんは、1週間の労働時間は20時間以上ですが雇用契約期間が31日未満、Cさんは、雇用契約期間が31日以上になっているものの1週間の労働時間が20時間未満だからです。Dさんは雇用契約期間、労働時間の両方の加入資格を満たしていません。
Eさんは、派遣会社での勤務開始当初、雇用契約期間が15日で1週間の労働時間も20時間未満でしたが、その後、雇用契約期間2ヵ月、1週間の労働時間20時間以上の契約に更新しました。このような場合は、契約を更新した時点から雇用保険に加入できるようになります。
マイナビキャリレーションで働くと雇用保険はどうなる?
ここまでは派遣社員と雇用保険の関係について解説してきました。続いては、実際にマイナビキャリレーションで働いた場合の雇用保険について見ていきます。実は、マイナビキャリレーションで働くと基本的にすべての人が、働き始めてすぐに雇用保険に加入することができます。なぜなら、マイナビキャリレーションは無期雇用派遣という働き方を提供するサービスであり、しかも紹介している仕事はフルタイムのものがほとんどだからです。
無期雇用派遣では派遣会社と期間を定めずに雇用契約を結びます。(マイナビキャリレーションで就業する場合、雇用契約を結ぶ派遣会社はマイナビワークスです。)つまり、雇用契約期間に関する条件である「雇用契約期間が31日以上、もしくは31日以上になる見込みがある」が、入社時に満たされるということです。紹介している仕事もほとんどがフルタイム。労働時間についての条件である「契約で決められた1週間の労働時間が20時間以上である」もクリアできます。
雇用保険は、万が一、失業をしてしまったときに生活を支えてくれたり、就職を支援してくれたりする、すべての社会人にとっての強い味方です。ほとんどの人が入社してすぐに雇用保険への加入資格を満たすマイナビキャリレーションなら、安心して働くことができるでしょう。
雇用保険から失業手当(失業保険)を受け取るには?
雇用保険には失業をしたときに備えたさまざまなサポート(給付)があるのですが、中でも働く人にとって重要なのが、「基本手当」と呼ばれるものです。基本手当は一般に「失業手当」や「失業保険」と呼ばれることが多いので、この言葉のほうになじみがある人も多いかもしれません。このページでは失業手当という表現に統一して解説していきます。
失業手当(失業保険)を受け取るための条件
失業手当は、雇用保険に加入していれば、仕事を失ったときに誰でも受け取れるというわけではありません。失業手当の給付には一定の条件が設けられています。第一の条件は、簡単にいうと働く能力と意思を持って、就職活動をしているということ。雇用保険の内容を定めた雇用保険法の条文と、ハローワークのWebサイトの記載内容を見てみましょう。
求職者給付の支給を受ける者は、必要に応じ職業能力の開発及び向上を図りつつ、誠実かつ熱心に求職活動を行うことにより、職業に就くように努めなければならない。
引用元:雇用保険法 第十条の二
ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
つまり、会社を辞めて仕事をしていなかったとしても、ハローワークを利用して、積極的に就職活動をしていないと失業手当は受け取れないということです。たとえば、以下のような場合も失業手当の支給対象にはなりません。
失業手当の支給対象にならない場合の例
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- すでに転職先が決まっている
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- 就職ではなく起業の準備をしている
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- アルバイトやパートをしている
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- 病気やケガをしてすぐに働けない
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- 妊娠、出産、育児をするためにすぐには働けない
また、失業手当の対象となるためには、雇用保険に一定期間加入していなければなりません。必要な期間は、離職(会社を辞めた)理由によって異なり、「特定受給資格者・特定理由離職者」とそれ以外の「一般の離職者」の2パターンに分けられます。
一般の離職者とは、わかりやすくいうと、キャリアアップやスキルアップなどのために自分の意思で会社を辞めた人のことです。「特定受給資格者」は会社が倒産した、突然に解雇されたなど就職活動の準備をする余裕がない状況で離職をしなければならなかった人、「特定理由離職者」は登録型派遣などで有期の雇用契約が切れてしまったために離職を余儀なくされた人や、体調の変化、家族の事情などの理由で離職をしなければならなかった人を指します。
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- 一般の離職者が失業手当の対象となるための雇用保険加入期間
- 離職日以前の2年間に、12ヵ月以上雇用保険に加入していること
- 特定受給資格者・特定理由離職者が失業手当の対象となるための雇用保険加入期間
- 離職日以前の1年間に、6ヵ月以上雇用保険に加入していること
失業手当(失業保険)はいくら受け取れる?
それでは、失業手当はどの程度の金額を受け取ることができるのでしょうか。失業手当の金額は、1日当たりいくらという形で決められており、これを「基本手当日額」と呼びます。基本手当日額の金額は「離職日の直前6ヵ月に賞与等を除いて受け取っていた賃金÷180のおよそ50〜80%」となっています。詳しく書くと難しい表現になってしまうので、離職前の収入の50〜80%程度が失業手当として受け取れると考えておくのがいいかもしれません。また、基本手当日額の金額は年齢ごとに上限額が定められています。
基本手当日額の上限額
年齢 | 上限額 |
---|---|
30歳未満 | 6,835円 |
30歳以上45歳未満 | 7,595円 |
45歳以上60歳未満 | 8,355円 |
60歳以上65歳未満 | 7,177円 |
- 令和4年8月1日現在
- この金額は毎年8月に改定されます。
失業手当(失業保険)を受け取るための手続きと支給開始まで
最後に失業手当を受け取るための手続きについても簡単に紹介しておきましょう。実際に失業手当が支払われるまでにはいくつかの段階を踏む必要があります。
STEP1|受給資格の決定を受ける
自分が住んでいる場所を管轄しているハローワークに行って、求職の申込みと前職の会社から受け取った離職票(雇用保険被保険者離職票(-1、2))を提出します。この際、マイナンバーがわかる書類、免許証などの身元確認書類、印鑑、写真(最近の写真、正面上半身、縦3.0cm×横2.5cm)2枚、預金通帳またはキャッシュカード(一部指定できない金融機関があります。)も必要になります。
STEP2|雇用保険受給者初回説明会に出席する
受給資格の決定と同時に、「雇用保険受給者初回説明会」の日時が案内されます。案内された日時に出席しましょう。説明会では、雇用保険についての説明を受けたうえで、「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を受け取ります。また、1回目の「失業認定日」の指示を受けます。
STEP3|失業の認定を受ける
雇用保険受給者初回説明会で指示を受けた1回目の失業認定日にハローワークを訪問し、失業中であることの認定を受けます。求職活動の状況などを記入した、失業認定申告書と雇用保険受給資格者証を提出しましょう。また、原則として、4週間に1度、以上の失業認定を行います。
STEP4|失業手当を受け取る
失業認定が正しく行われると、通常、その5営業日後に指定の金融機関の口座に失業手当が振り込まれます。(ただし、休祝日又は年末年始を含む場合は、遅れる場合があります。)
一般の離職者は失業手当をすぐには受け取れない
失業手当には「待期期間」という概念があります。待期期間とは受給資格の決定から7日間のこと。この期間中は失業手当の対象外となります。また、前述した一般の離職者には「給付制限期間」というものが設けられており、この期間も失業手当の対象外となっています。
また、これまで「給付制限期間」は待期期間終了後の3ヵ月間と定められていましたが、令和2年10月1日からは待期期間終了後の2ヵ月間と短縮されました。つまり、一般の離職者が失業手当を受け取れるようになるのは、受給資格の決定から7日+2ヵ月後ということです。ただし、給付制限期間が2ヵ月間になるのは、最後の離職日からさかのぼった5年間のうちに2回まで。3回目の離職以降は給付制限期間が3ヵ月となります。会社を辞めたらすぐに失業手当を受け取れると勘違いしている人がいるので、注意が必要です。
雇用保険の面でも安心感がある無期雇用派遣という働き方
ここまで、雇用保険と派遣社員の関係、雇用保険から失業手当を受け取るための方法について見てきました。このページを読んでいる人は「派遣社員は雇用保険に入れない?」などという不安を持っていたかもしれません。その点の不安は解消されたでしょう。“最適な働き方”は人によってそれぞれ異なりますが、無期雇用派遣サービスを提供するマイナビキャリレーションなら、雇用保険の加入資格を気にすることなく、業務に取り組めることはメリットのひとつと言えるかもしれません。